「最近、トレーニングの重量が伸び悩んでいる。もっと筋肉を大きくしたい。」「でも、クレアチンを飲むと太る・むくみが出るなどの噂を聞いて心配。」という方もいるでしょう。
結論、クレアチンの摂取で増えるのは「細胞内の水分」であり、脂肪ではありません。
つまり、クレアチンの摂取によって起こるのは、一時的な体重増加にすぎないのです。
しかし、現在筋トレ中の方や減量に取り組んでいる方にとって、体重の増加は避けたいことの一つ。
それらを最小限に抑える対処法についての情報は多くありません。
そこで、本記事では管理栄養士の視点から、クレアチン摂取による体重増加の本質とむくみとの関係、見た目の変化について解説します。
論文をベースにして、科学的に解説していくため、筋肉を大きくしたい方や、最短で見た目の変化を目指したい方はぜひチェックしてみてください。

なぜ「クレアチンで太る」と言われるのか
クレアチンの摂取によって「太る」と言われる理由は、摂取の初期段階における水分の貯留が関係していると考えられます(1)。
例えば、ある研究では3日間のクレアチン摂取によってTBW(体水分量)と細胞外、細胞内水分量の増加が示されています(2)(3)。
上記の論文結果を機に、クレアチンの摂取が長期的な水分貯留を増加させてしまうのではないか、という考え方が広まった可能性があるのです(1)。
体重増加の正体は「筋細胞内の水分」
クレアチン摂取による体重増加の正体は「筋細胞内の水分」が増加したことによるものと考えられています(1)。
クレアチンは浸透圧活性物質
クレアチンは、浸透圧活性物質です(1)。
浸透圧活性物質とは簡単に言うと、「水を特定の場所に引き寄せる力を持つ物質」のことです。
そもそも浸透圧とは、濃度の異なる2つの液体の間に水分子よりも大きなものは通さない膜があり、2つの液体の濃度を均一にするため、濃度の低い液体から濃度の高い液体に水分が移動する力のことを指します(13)。
浸透圧活性物質には、ナトリウムイオンやアルブミン、グルコースなどがあります(4)。
例えば、ナトリウムは摂取した後に、血管の壁にある隙間(血管内皮細胞間隙)を通り抜けて細胞外に出ていきます。
グルコースも同じように細胞外液に分布し、「インスリン」というホルモンによって細胞内に入り、代謝後は水となって細胞外の濃度と均一になるように存在します(4)。
つまり、クレアチンを摂取した場合も上記と同様の現象が起きており、クレアチンが筋肉に貯蔵される際に細胞の外との濃度を均一にするため「水分を筋細胞に引き込んだ様子が「むくんだおよび太った」ように感じられたのです(1)(4)。
これにより、クレアチンの摂取が一時的な体重増加を引き起こす可能性はあると言えます。
ローディング期に1〜2%の体重増加は正常
クレアチンの摂取は初期の「ローディング期」と残りの「メンテナンス(維持)期」にわかれます。
最初の5〜7日間は1日5×4gの摂取を行う「ローディング」が短時間高強度の運動パフォーマンスを維持するためによく用いられます(5)。
このローディング期間中に、体重の1〜2%増加することが複数の論文で報告されています(6)。
クレアチンの摂取は、持久系の競技や体重に敏感なスポーツのパフォーマンスに影響する可能性もあるため、使用の際はその点も考慮して取り入れましょう。
ローディングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

増えた水分は「筋肉と一緒に増えている」
クレアチンの摂取によって、水分が増えただけでなく、長期的にみると筋肉の増強につながる可能性があると考えられます。
ある研究では、健康な男女(n=32)に28日間クレアチンを摂取してもらった前後での体水分量や細胞内水分量、細胞外水分量を測定したところ、筋肉に含まれるクレアチンの増加を助けることが期待されました(1)(7)。
また、別の研究ではクレアチン摂取と8週間の運動を組み合わせた場合、対照群と比べて、体水分量と細胞内水分量の体積が有意に増加したという結果が得られています(8)。
さらに、骨格筋と細胞内水分量の比率が両群とも同じだったことから、細胞内の水分がたんぱく質を作るための重要な物質であり、時間の経過とともに筋肉量の増加をサポートすることが示されました(1)。
「むくみ」とは別物である理由
先ほどの健康な男女を対象とした研究を掘り下げて考えると、クレアチン摂取による体重増加は「むくみとは別物である可能性」が考えられます(1)(7)。
皮下水分vs 筋細胞内水分の決定的違い
むくみとは、血液中の体液が血管外に濾出(ろしゅつ)するなどして、皮下組織(細胞外)に過剰な水分が溜まっている状態です(9)。
しかし、先ほどの研究では、以下の3点の特徴が見られました(7)。
- クレアチン摂取群では、筋肉内のクレアチン濃度と体重、体水分量の増加がみられた。
- 細胞内水分量または細胞外体水分量は変化しなかった。
- 対照群では、体水分量にわずかな増加がみられた。
つまり、クレアチン摂取による体重増加は、浸透圧によって筋肉内の細胞に水分が引き込まれたことによる可能性が考えられます(7)。
一般的なむくみとクレアチンによる水分保持との違いについてまとめました(1)(4)(9)(10)。
| 一般的なむくみ | クレアチン摂取による水分保持 | |
|---|---|---|
| 水分が溜まる場所 | 細胞外液(皮下組織) | 細胞内液(筋肉の中) |
| 特徴 | 指で押した後に跡が残る | 跡は残らない |
| 体重の増加率 | 高度なむくみでは、体重の約10%が増加することも | 主にローディング期の摂取で、体重の1~2%増加することがある |
| 主な原因 | ・腎臓から排出されたナトリウム量の減少 ・蓄えられたナトリウムイオンが血管の外に移るとき ・浸透圧のバランスが崩れたときなど | 浸透圧活性物質であるクレアチンを摂取したときに、筋肉の細胞内に水分が引き寄せられて起こる生理的な反応 |
一般的なむくみは、皮下組織などに水分が溜まった状態です。腕や足などに起こりやすい局所的なものと全身で起こるものがあります(9)。
全身性の場合、心臓や腎臓、肝臓などに異常がある、もしくは治療の必要性が考えられるケースもあるため注意が必要です(9)。
一方で、クレアリンの摂取による水分保持では、怪我の予防への寄与や暑熱環境下での運動耐性についての影響などが報告されています(5)。
つまり、両方とも体水分量の増加という点では同じですが、クレアチン摂取の場合は、細胞内水分が増えることで、長時間の運動においての温度調節や耐性維持のための戦略の一つとして用いられています(5)。

見た目の変化は「筋肉が張って見える」効果
「筋細胞内の水分が増加している」と聞くと、細胞が膨張していることになり、ネガティブな印象に捉えられがちです。
しかし、ポジティブに捉えると「筋肉が張って見える」効果が期待され、ボディビルダーの大会での「最終調整」のために重要なポイントでもあります(11)。
ボディビルディングでは求められる要素の中に「筋肥大」があり、筋肥大することを「バルクアップ」と呼びます(11)。
バルクアップさせるためには、筋肉に負荷をかけて収縮させることで一時的なパンプアップ(膨張)が期待されます(11)。
パンプアップは、筋肉内に多くの水分が貯留し、筋肉が張って見える状態のことです。これらは、浸透圧を一定にする働きによって起こります(12)。
筋肉は、ぐっと力を込めると血液の流れが制限され、その状態で運動を行うと筋肉を肥大させる強い刺激になると考えられています(12)。
また、乳酸などの無酸素性の代謝産物が筋肉に蓄えられることで、浸透圧の影響からパンプアップにつながるのです(12)。
これをクレアチンに置き換えると、筋肉内のクレアチン濃度が高くなった場合に、細胞外との濃度を均一にしようと、血液(水分)をため込みやすくなり、筋肉がパンプアップするといったメリットが考えられます(11)(12)。
脂肪は増えない―研究データで確認
クレアチンの摂取によって、「体脂肪が増加する」といった考え方が懸念されています(1)。
しかし、複数のRCT(ランダム化比較検討試験)において、体脂肪の増加は報告されていません(1)。
ある研究では、7日間のクレアチン摂取によって若い成人や高齢者の体脂肪量に影響はなく、除脂肪体重(体重から体脂肪の重さを引いた値)は増加したという結果が出ています(1)(14)。
また、6〜8週間続く短期研究においても、クレアチンの摂取による脂肪量の変化は報告されていません(1)。
1年以上のウェイトトレーニングの経験を持つ男性を対象にした研究では、前腕の屈筋群における筋トレ中に、クレアチンを摂取した場合、筋トレのみの場合よりも前腕の屈筋群の筋力や上腕の筋肉面積、除脂肪体重の増加が大きくなったこと。
一方で、脂肪量や体脂肪率には変化がなかったことが示されています(1)(15)。
さらに長期的な研究でも同様の結果が報告されています。
筋トレ経験のある健康な男性19人を対象とした研究では、クレアチンを1週間(25g×1日)摂取した後、残りの期間は5g×1日を摂取し、12週間後には体重と除脂肪体重の有意な増加が報告されています(1)(16)。
この研究結果から、クレアチンサプリメントの摂取は、さまざまな集団において体脂肪量を増加させないことが考えられているのです(1)。
減量中・ダイエット中の人への影響
「体重を減らしたいけれど、クレアチンを飲んでもいいのか?」など、減量中やダイエット中の方にとって、クレアチンの摂取は悩むポイントの一つでしょう。
しかし、体重管理を行いつつパフォーマンス向上を目指すためには、クレアチンの摂取が欠かせないこともあります。
以下の場合は、クレアチンの摂取を続けてみましょう(17)(18)。
- 短距離走やウェイトリフティングなどの瞬発力やパワー、スピードを必要とする運動を行う場合
- 加齢に伴う体力や筋肉量を減少させたくない場合
- 健康的な体を維持したい場合
短距離走やウェイトリフティングなどの瞬発力を要とするトレーニングでは、瞬時に多くのエネルギーが必要になるため、より早くATPを再合成できる「ATP-Cr系」でのエネルギー生成が効率的です(19)。
ATPは筋肉収縮のエネルギー源となる物質で、不足すると疲労困憊に陥り、それ以上の運動ができなくなってしまう恐れもあります(19)。
つまり、高強度のトレーニングや瞬発力を必要とする運動を行う場合は、クレアチンの摂取を組み合わせることで、その原料となる「クレアチンリン酸」の合成速度を維持。長期的に見て、パフォーマンスの継続や筋肉の成長につながりやすい可能性が考えられます(6)。
クレアチンの効果や基本については、こちらの記事も参考にしてください。

また、筋肉が増えると除脂肪量の割合は増加します。筋肉の代謝量は脂肪組織よりも高いことが報告されており、筋肉の強化は長期的な視点において、脂肪組織の増加にはつながりにくいと考えられます(20)。
加えて、クレアチン摂取によって、一時的な筋細胞の水分量増加が起こるものの(1)(7)、これは筋肉にエネルギーと水分が蓄えられたサインであり、単に「太った」というわけではないと言えるでしょう。
女性が気になる「顔・下半身のむくみ」との関係
女性は男性と比べて筋肉量が少なく、減量中やダイエット中の方はむくみやすい可能性があるため、注意が必要です(1)(21)。
特に女性のむくみの原因となりやすいのが、以下の5点です(1)(21)。
- 長時間の立ち仕事や座りっぱなしの時間が多い
- 体重増加
- 水分や塩分の摂りすぎ
- 運動不足と筋力の低下
- 栄養不足(たんぱく質、ビタミン、ミネラル)
これらは、顔や下半身のむくみとも関係が深いと考えられます(21)。
むくみのリスクを減らして、健康的に減量・体型維持をしていくためには、必要な栄養素をバランスよく摂ったうえで、適度に運動を取り入れることが大切です。
体重変動を最小化する実践的な対処法
クレアチンの摂取による体重変動を最小化する方法は、意外とシンプルです。
- 1日3〜5gの習慣的な摂取を維持する
- むくみやすい生活習慣があれば改善する
ローディング期などの短期間におけるクレアチンの大量摂取は、体重変動を引き起こす要因になりかねません。
国際スポーツ栄養学会では、もう一つのクレアチンサプリメントの摂取方法として、1日3〜5gの習慣的な摂取を推奨しています(5)。
また、クレアチンはたんぱく質と糖質との同時摂取によって、筋肉へのクレアチンの取り込みをサポートすることが報告されています(6)。
クレアチンを取り入れた具体的な食生活は、以下の記事を参考にしてください。

また、減量中・ダイエット中の方、顔や下半身のむくみに悩む方は以下の習慣を意識してみましょう(21)(22)。
- たんぱく質やビタミン、ミネラルの積極的な摂取
- 塩分の摂りすぎに注意
- 定期的な運動習慣
食事が十分にとれていない場合、浸透圧の影響で血管の外に水分が漏れやすくなります。特に血液中のたんぱく質が不足するとむくみの原因になる可能性もあります(21)。
また、ビタミンはたんぱく質の代謝、ミネラルは浸透圧の維持に関わる栄養素です(22)(23)。
食塩や水分の摂りすぎは、むくみの原因の一つになることも考えられます(21)(22)。味付けの濃さや酸味・香辛料を活かした減塩、加工食品の使用頻度を確認してみましょう。
最後に大切なのは、適度に体を動かすことです。
足などの軽いむくみは運動をすると、筋肉がポンプのような役割を果たし、静脈の血液が心臓に送り返されます(21)。
むくみが強い時には足を心臓より高い位置に上げて休んだり、座って仕事をする方も適度に足の運動を取り入れたりするとよいでしょう。
やめれば元に戻るのか?
国際スポーツ栄養学会の報告によると、筋肉内のクレアチン貯蔵量が上昇した後に、摂取をやめると元の状態に戻るまでは約4〜6週間かかるとされています(5)。
しかし、クレアチンの摂取をやめた後に、筋肉内のクレアチンの量が摂取前の状態を下回るという事実はありません(5)。
そのため、ご自身のライフスタイルやタイミングに合わせて、体質をコントロールすることができるのがクレアチン摂取の大きな強みと言えるでしょう。
まとめ
今回は、クレアチンの摂取における体重増加の理由と見た目の変化について解説してきました。
- 体重増加の原因は、筋細胞内の水分量の増加が考えられる。
- クレアチン摂取による体重増加は、むくみとは別物である可能性が高い。
- 見た目の変化では、筋肉が張って見える効果が期待される。
- 複数の研究において、体脂肪の増加は報告されていない。
- 体重変動を最小限に抑えるには、1日3〜5gの継続的な摂取が推奨される。
クレアチンの効率的な摂取のためには、少量でも吸収されやすい「クレアルカリン」の選択をおすすめしています。
クレアルカリンは、代謝産物である「クレアチニン」に変換されることなく、さまざまな物質への安定性が期待されるクレアチンの種類です。
LEVEL.FITのクレアルカリンカプセルは、外出先やジムでの素早いクレアチン摂取に活用でき、1日1.5gを基本にした低用量摂取と、ローディング不要の手軽さが魅力の一つ。
現在、筋トレ中の方はもちろん、減量やダイエットのために運動を行っている方も、ぜひ一度お試しください。

(1)Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show?
(2)JM Rosene,etal.The effects of creatine supplementation on thermoregulation and isokinetic muscular performance following acute (3-day) supplementation.JSportsMed Phys Fitness.2015;55(12):1488-96.
(3)Tim N. Ziegenfuss ,etal.Acute fluid volume changes in men during three days of creatine supplementation .Journal of Exercise Physiology .1998;1(3).
(4)宮尾秀樹.すぐに役立つ輸液の知識.日本臨床麻酔学会第29回大会 教育講演.2010;30(7):917-924.
(5)ISSN Position Stand: Safety and efficacy of creatine supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2017.
(6)近藤衣美.直接的にパフォーマンスを向上させるサプリメントの科学的根拠.Journal of High Performance Sport.2020;5:93-105.
(7)Michael E.Powers,etal.Creatine Supplementation Increases Total Body Water Without Altering Fluid Distribution.J Athl Train.2003;38(1):44-50.
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(9)一般社団法人日本リンパ浮腫学会|むくみについて
(10)公益社団法人日本薬学会|浮腫
(11)三矢絃駆ほか.ボディビルにおける科学と芸術.バイオメディカル学会誌.2024;48(3):99-105
(12)健康日本21アクション支援システム|スロートレーニングとは
(13)学校法人神戸滋慶学園 姫路医療専門学校|浸透圧について
(14)Andreo Fernando Aguiar,etal.Long-term creatine supplementation improves muscular performance during resistance training in older women.European Journal of Applied Physiology.2013;113(4):987-996.
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(16)JS Volek,etal.Performance and muscle fiber adaptations to creatine supplementation and heavy resistance training.Med Sci Sports Exerc.1999;31(8):1147-56.
(17)一般社団法人日本スポーツ栄養協会|特集「クレアチン」より 第1回「クレアチンの基礎 その効果と作用機序、歴史」
(18)一般社団法人日本スポーツ栄養協会|特集「クレアチン」より 第4回「中高齢者のクレアチン摂取効果」
(19)独立行政法人農畜産業振興機構|運動時のエネルギー代謝と糖質制限食
(20)健康日本21アクション支援システム|加齢とエネルギー代謝
(21)国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「足の腫れ・むくみの原因は?」
(22)国立研究開発法人国立循環器研究センター「食事療法について」
(23)国立研究開発法人国立循環器研究センター「栄養に関する基礎知識」


