クレアチンとEAA・HMBの併用は効果的?同時摂取の科学と最適な組み合わせを管理栄養士が解説

クレアチンとEAA・HMBの併用は効果的?同時摂取の科学と最適な組み合わせを管理栄養士が解説

プロテインやクレアチン、EAA、HMBなど、多くのサプリメントがあるなかで、「これらを全て飲むことで本当に効率よくボディメイクできるのか」と疑問に思ったことはありませんか?

結論から言うと、それぞれの役割や作用機序が異なるため、併用して飲むこと自体は問題ありません。

しかし、全てを飲めばよいというわけではなく、優先順位を理解した上で必要なものを取り入れるのが賢い選択です。

本記事では、クレアチンとEAA・HMBの併用について、最新のエビデンスと目的別の組み合わせ、飲むタイミング・注意点などを解説します。

目次

EAAとは?HMBとは?基本と作用機序

近年、クレアチンとの併用が推奨されているEAAとHMBについて、基本的な特徴と作用機序について解説します。

EAA(必須アミノ酸)とは

AA(必須アミノ酸)は、体内で合成できない、9種類のアミノ酸の総称です。筋タンパク質合成の材料となるEAAは、トレーニング中の筋肉の分解を抑え、合成を効率的にサポートしてくれます(1)

また、EAAと比較されることの多いBCAAは、「分岐鎖アミノ酸」と呼ばれ、必須アミノ酸の一部である「バリン・ロイシン・イソロイシン」の3種類を指します(1)

BCAAは筋肉内のタンパク質分解を抑え、時には筋肉のエネルギー源となり、利用されることが考えられます。

HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)とは

HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)は、必須アミノ酸の一つであるロイシンの代謝産物です。

主な役割は以下の2つです。

HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)の2の期待できる効果
  1. 筋タンパク質の分解を抑制する
  2. タンパク質合成の刺激を送る

HMBは、運動によって負荷がかかった筋肉のリカバリーをサポートする役割が期待されています。

また、HMBの摂取による影響は、高齢者や運動習慣のない方を対象にした研究において顕著に見られる傾向があります。一方で、すでにトレーニング経験のある方を対象とした短期研究では明らかな変化が認められないことがあります(2)

クレアチンとの作用機序の違い

それぞれのサプリメントの主な役割と作用機序についてまとめました(1)(2)(3)

サプリメント主な役割期待されるケース
クレアチンATPの再合成をサポート強度・短時間運動パフォーマンスの維持
EAA筋合成の材料を供給筋肉づくり全般
HMB筋分解の抑制・リカバリーをサポート筋肉量の維持
(減量期や運動休止期など)

クレアチンは、瞬発的な活動のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の再合成を支え、高強度・短時間の運動を続けやすくしてくれます。

EAAは、MPS(筋タンパク質合成)の材料となり、運動によってダメージを受けた筋肉を補う役割が期待されます。

一方、HMBは高強度・長時間の運動にともなう筋肉分解を抑え、健やかなリカバリーを後押ししてくれます。

クレアチン×EAA併用の効果とエビデンス

クレアチンとEAAを併用する場合、それぞれの役割や作用機序が異なるため、合理的と考えられています。

クレアチンは、高強度の運動時のエネルギー代謝をサポートし、運動パフォーマンスの維持が期待されています(1)

一方でEAAは、9種類ある必須アミノ酸の1種類でも欠けると、体内でタンパク質の合成が行われなくなる性質を持っています(2)。そのため、食事やサプリメントからの摂取が重要であり、運動によって負荷がかかった筋肉を作り直す材料となるほか、筋肉の合成をサポートする可能性があります。

クレアチンとEAAの併用に関するエビデンスをいくつか紹介します。

まず、ある研究では十分なタンパク質(EAAを含む)と炭水化物を併用したクレアチンは、単独摂取と比べて筋肉内へのクレアチン取り込みや保持量が高まることが報告されています(4)

また、別の研究では、クレアチンとホエイプロテイン(EAAを含む)を組み合わせると、クレアチンを単体で摂取した場合と比べて、10週間の筋トレを行った後の除脂肪量やベンチプレスの強度に有意な差が認められました(4)

さらに、ある研究では低用量のクレアチンとタンパク質(EAAを含む)サプリメントを併用した場合に、除脂肪体重の前向きな変化と相対的な筋力の維持向上もたらしたというデータもあります(5)

このように、クレアチンとEAAの併用は、体内で吸収を阻害し合わないのが特徴です。

また、筋肉量の維持をサポートするためには、同じ必須アミノ酸のBCAAよりもEAAの摂取が推奨されています。

これは、EAAのほうが9種類の必須アミノ酸全てを含み、筋タンパクの合成の材料となるほか、合成のための刺激を与えてくれるからです。

一方で、BCAAは筋肉の材料となる必須アミノ酸のうち3種類(バリン、ロイシン、イソロイシン)しか含まれておらず、体内にある筋タンパク質を分解して、筋タンパク合成の前駆体(前の物質)となります。

つまり、BCAAは筋肉の材料となるタンパク質がなければ、効率的なタンパク質合成のサイクルが働きにくくなるのです(6)

なお、食事からのタンパク質摂取量が足りている場合は、必ずしもEAAは追加する必要はありません。

クレアチンとEAAの併用を行う前に、食事からタンパク質(体重1kgあたり1.5〜2g)を確認しましょう(7)

ちなみに、クレアチンとEAAの併用については、筋トレの前後のどちらでもかまいません。EAAは消化を必要とせず、速やかに吸収されて、運動時の効率的なアミノ酸補給に役立ちます。

クレアチン×HMB併用の効果とエビデンス

クレアチンとHMBの併用については、一部の研究において筋肉量の維持やパフォーマンスにポジティブな結果が示されています。

しかし、研究によってはクレアチンとHMBの併用によって変化が見られたり、見られなかったりと結果のばらつきがあるのも事実です。

例えば、複数の研究をまとめたレビューにおいて、1〜6週間の期間にクレアチンを3〜10g/日、HMBを3g/日摂取した際の結果で、筋力・無酸素運動のパフォーマンステストで、除脂肪体重と脂肪量に変化が示されました(8)

また、優秀な男性ボート選手を対象とした研究では集中的な筋トレとHMB・クレアチンの併用によって、無酸素能力、持久力の指標によい変化が見られたとの報告も(2)

一方で、すでに高度なトレーニングを長年続けているアスリートを対象とした研究では、HMBのパフォーマンスへの影響はさまざまで、顕著な差が出にくいという見解もあります。

また、HMBの主な役割は、高強度または長時間の運動後の筋タンパク分解を抑えてくれることです(2)

そのため、普段から筋トレを行っている中〜上級者の方ほどよりも、以下のケースで高い実用性が期待できます。

上記の点を踏まえ、クレアチンとHMBの併用が推奨されるケースについて確認してみましょう(2)

クレアチンとHMBの併用が推奨される4つの方
  1. 筋トレを始めてまだ数ヶ月ほどの方
  2. 健康維持やサルコペニア対策を意識する高齢者
  3. 運動休止期やスムーズな身体活動への復帰を目指す方
  4. 減量中だけど筋肉量を維持していきたい方

つまり、クレアチンとHMBの併用を考える場合、普段からの筋トレの習慣がある方は、HMB単体よりも筋合成に必要な栄養素をバランスよく含む、EAAおよびプロテインの追加を検討したほうがよいでしょう。

3点併用は最強?目的別の最適な組み合わせ

ここまでの話を聞くと、「クレアチン・EAA・HMBを全て取り入れたら最強なのでは?」と感じた方もいるでしょう。

しかし、安易にいくつものサプリメントを併用するよりも、目的を明確したうえで組み合わせを考えるほうが、効率的で賢い体づくりが目指せます。

3点併用の評価

クレアチンとEAA、HMBの3点併用は、それぞれの作用機序が異なるため、理論的には可能です。

しかし、食事からのタンパク質が十分であることが前提です。食事内容や運動の強度によっては、必ずしもEAAやHMBの追加は必要ない可能性もあります。

サプリメントは、あくまで「食事の補助」であり、栄養バランスを意識した食事を心がけましょう。

上記、3つのサプリメントを併用する場合、【クレアチン>EAA>HMB】の順に優先度が高くなっており、目的に合わせて検討してみましょう。

目的別の推奨スタック

目的別に推奨されるサプリメントの組み合わせは、以下の表を参考にしてください。

目的推奨スタック
筋肥大(中~上級者)クレアチン+プロテイン
筋肥大(初心者)クレアチン+プロテイン
減量期の筋肉量維持クレアチン+EAA(+HMB)
高齢者の健康維持クレアチン+HMB
持久系競技クレアチン(少量)+BCAA

筋肉合成のサポートを目的とした摂取では、クレアチンとプロテインの組み合わせがおすすめです。

クレアチンは、運動パフォーマンス向上やトレーニングへの適応が期待されるものです。

プロテインとの併用は、筋トレの強度や食事による影響を受けながら、筋肉合成のサポートにつながる可能性があります。

ローディングを行わない場合は、1日3〜5gのクレアチンを摂取してみてください(3)

プロテインの目安量は、運動の種類や体重によって異なりますが、体重あたり1.5〜2.0gを意識してみましょう(7)。

減量期の筋肉量維持の場合は、クレアチンとEEAの併用がおすすめです。

クレアチンは、筋肉のエネルギー源の再合成をサポートし、減量中であってもトレーニングの強度を維持できます。

また、食事量も調整する減量期は、EAAの必要量が増加することも考えられます(1)

EAAは消化の負担が少なく、運動中でも必要な栄養をすぐに届けてくれます。1回あたりの目安量は1.5〜3g。1日15〜18gが目安量の上限になっているため、まずは1日10〜15gを複数回に分けて飲んでみてください(1)

余裕がある方は、HMBを1日約3g(体重1kgあたり38mg)を数回に分けて飲んでみましょう(2)

高齢者の方は、クレアチンとHMBの併用がおすすめです。HMBは運動を行わない方でも、筋力や身体能力の維持などの役割が考えられるため、こちらも1日3gを目安に取り入れてみましょう(2)(3)

最後は持久系競技の場合です。おすすめは少量のクレアチンとBCAAの組み合わせです。クレアチンを少量摂取するのは、水分保持の性質による体重増加とパフォーマンスへの影響を少なくするためです。1日1〜2gに減らして取り入れてみましょう(3)

BCAAの役割は、筋肉分解の軽減とエネルギー源を確保するためです(9)。1日あたり10〜15gの量を数回に分け、炭水化物と組み合わせて摂ってみてください(1)

飲み方・タイミング・注意点

クレアチンやEAA、HMBの飲み方やタイミングについて解説します。

タイミングの基本

クレアチン・EAA・HMBの摂取タイミングと注意点についてまとめました。

サプリメント摂取タイミング飲み方の注意点
クレアチントレーニング直後または食後タイミングよりも毎日飲み続ける
EAA運動直前(15~30分前)または運動中運動中に少しずつ飲むのがよい
HMB・激しい運動の30~60分前
・毎日3回に分けて摂取
・運動前に合わせて飲む
・激しい運動を行う期間の2週間以上前から1日3gを目安に毎日飲む

クレアチンの摂取タイミングは、基本的にいつでもかまいませんが、トレーニング後や食事との摂取がおすすめです(10)

クレアチンは、筋肉内のクレアチン貯蔵量を維持することが重要であり、タイミング管理よりも毎日続けて飲むことを意識してみてください。

EAAは運動直前(15〜30分前)やトレーニング中に少しずつ飲むことで、筋肉の修復を行い、筋合成をサポートするとの報告があります(1)

HMBの摂取タイミングは、2つの側面があり、直近の摂取では、激しい運動を行う30〜60分前に摂取します(2)

一方で、長期間の激しい運動を行う場合は、少なくとも2週間以上前に、1日3gのHMBを3回程度に分けて摂ることが推奨されます(2)。これは食前や食事中の摂取でも問題ありません。

サプリメントの同時摂取は、過剰摂取でない場合、基本的にOK。今回の組み合わせでは、吸収阻害などの心配も起こりにくいと考えられます。

摂取の効率を重視する場合、トレーニング後の栄養補給で、それぞれのサプリメントを混ぜて飲んでも問題ありません。

クレアチンの詳しい摂取タイミングについては、こちらの記事も参考にしてください。

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注意点・デメリット

サプリメントを併用するときの主な注意点は3つです(11)

サプリメントを併用するときの主な3つの注意点
  1. 過剰摂取をしない
  2. コストを考えて選ぶ
  3. 「飲んでる安心感」よりも目的に近づけるように選ぶ

クレアチンやEAA、HMBなどのサプリメントにおいて、過剰摂取は推奨されていません。また、一度に多く摂取すると下痢などを引き起こしやすく、バランスも乱れがちになります(1)(2)(3)

2つめは、併用摂取によるコスト面の問題です。複数のサプリメントをそろえようとすると、ひと月あたり数千円〜1万円超の出費になることも。

また、コストをかけた分、必ずよい結果が出るとも限りません。飲むこと自体が「安心」となり、目的を見失わないよう必要なものを賢く選んでみましょう。

そして、既往歴や腎機能への配慮が必要な場合は、必ず摂取する前に医師に相談してください(3)

まとめ&よくある質問

クレアチンとEAA、HMBの併用に関する質問にお答えします。

クレアチンとEAAを混ぜて飲んでいいですか?

はい。それぞれの役割や作用機序が異なるため、混ぜて飲んでも問題ありません。クレアチンとEAAを併用して飲む場合は、筋トレの前後がおすすめです。

プロテインとEAA、両方必要ですか?

食事からのタンパク質量が足りている場合は、必ずしもEAAは追加する必要はありません。

併用する前に、食事からタンパク質(体重1kgあたり1.5〜2g)がしっかりと摂れているかを確認しましょう。

HMBはクレアチンの代わりになりますか?

変わりにはなりません。クレアチンは、活動のエネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)の再合成を支えてくれる物質です。一方、HMBは運動後の筋肉分解を抑え、リカバリーを助ける物質です。目的が異なります。

3つ全部飲むのは過剰摂取になりますか?

クレアチン、EAA、HMBの摂取自体は、過剰摂取にはなりません。しかし、一度に大量に飲んだり、組み合わせを間違えたりすると、過剰摂取の心配やコスト面での問題が考えられます。

クレアチン+EAA+HMBで最強スタックは作れますか?

それぞれの役割が異なるため、理論的にはよい組み合わせです。しかし、目的やトレーニングのレベルによっては不要なサプリメントも出てくるため、自分の目標に合わせて最適化してみてください。

まとめ

今回はクレアチンとEAA・HMBの併用について解説しました。クレアチンとEAA、HMBはいずれも併用可能です。作用機序が異なるため、適切な量を守れば吸収阻害などの心配もありません。前提として、タンパク質や炭水化物などを含む栄養バランスのよい食事が基本です。食事が十分に摂れている場合は、EAA・HMBを追加するメリットは少なくなります。クレアチン>EAA>HMBの優先順位をおさえて、自分の目的や予算にあった組み合わせを選んで取り入れてみてください。

参考文献

(1)Arny A Ferrando,etal.International society of sports nutrition position stand: essential amino acid supplementation on skeletal muscle and Performance.J Int Soc Sports Nutr.2023;20(1):2263409.
(2)Jacob M Wilson,etal.International Society of Sports Nutrition Position Stand: beta-hydroxy-beta-methylbutyrate (HMB).J Int Soc Sports Nutr.2023;10:6.
(3)ISSN Position Stand: Safety and efficacy of creatine supplementation. J Int Soc Sports Nutr. 2017.
(4)Jose Antonio,etal.Part II. Common questions and misconceptions about creatine supplementation: what does the scientific evidence really show?.J Int Soc Sports Nutr.2024;22(1):2441760.
(5)Darren G Candow,etal.Part II. Low-dose creatine combined with protein during resistance training in older men.Randomized Controlled Trial.2008;40(9):1645-52.
(6)Robert R Wolfe.Branched-chain amino acids and muscle protein synthesis in humans: myth or reality?.J Int Soc Sports Nutr.2017;14:30.
(7)岡村浩嗣.アスリートのたんぱく質栄養の考え方.日本スポーツ栄養研究誌.2008;2:7-12.
(8)Julen Fernandez-Landa,etal.Effect of the Combination of Creatine Monohydrate Plus HMB Supplementation on Sports Performance, Body Composition, Markers of Muscle Damage and Hormone Status: A Systematic Review.J Int Soc Sports Nutr.2023;20(1):2263409.
(9)独立行政法人環境再生保全機構|筋肉量を増やすために必要な栄養素「分岐鎖アミノ酸(BCAA)」
(10)Jose Antonio,etal.The effects of pre versus post workout supplementation of creatine monohydrat
e on body composition and strength.J Int Soc Sports Nutr.2013;10:36.
(11)厚生労働省医薬食品局食品安全部|健康食品の正しい利用法

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